柿澤勇人俳優

2016年の6月にミュージカル「ラディアント・ベイビー」でキース・ヘリング役として舞台に立たせて頂きました。
僕自身にあまり絵の教養がなく、必死にキースの本や絵、映像を観て勉強し、まずは「ラディアント・ベイビー」と「犬」から描けるようにして稽古に臨みました。
舞台はとてつもないエネルギーと疾走感が必要だったので、とにかく自分もキースに一歩でも近付けるようにもがいていたのですが、千穐楽の前日に舞台上でアキレス腱を断裂しました。これは役者人生で最も大きな挫折の一つです。舞台が盛り上がって最終地点に差し掛かるホンの一歩手前でどん底に突き落とされました。
ですが、キースの味わった希望や絶望、鬱屈と混沌の中で必死に生きていたアーティスト達に比べれば、こんな経験は大したことじゃない、まだまだだと、今日まで自分を奮い立たせて生きています。
そして、あの時代のNYを中心とした街の中には今では考えられない爆発的なパワーと熱いアートの人間社会があったのだと思います。
だからこそ今でも多くの人を魅了する作品が残ったのだと舞台を通じて感じました。

PROFILE

柿澤勇人(俳優)

1987年、神奈川県出身。幼少期より高校にあがるまでサッカーに打ち込んでいたが、課外学習で観た劇団四季「ライオンキング」に衝撃を受け”シンバ”を演じたいと俳優を志す。
高校卒業後、2007年に倍率100倍以上の難関を突破し劇団四季の研究所に入所。09年に退団。その後、舞台、ドラマ、映画にて幅広く活動。
主な出演作に舞台「海辺のカフカ」「デスノート The musical」「メリー・ポピンズ」「ジキル&ハイド」、ドラマ「真犯人フラグ」(NTV)「大河ドラマ 鎌倉殿の13人」(NHK)、映画「鳩の撃退法」など。
キース・へリングを題材としたミュージカル「ラディアント・ベイビー」では主演のキースを演じる。
2024年1月から上演される三谷幸喜3年ぶりの新作舞台「オデッサ」に主演。
また、5月には「彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd」第一弾にてタイトルロール「ハムレット」を演じる。

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