岸谷五朗俳優/演出家

まだキースの絵をニューヨークの地下鉄で見かけていた頃、バタバタと芸術家達が謎の死を遂げていた。
クラブでも、話をしただけで手を繋いだだけで死に至る!そんなデマに翻弄され人類が生む恥部である「差別」が蔓延した。
キースもそんな激動のニューヨークで大暴れして亡くなった一人だ。
私も彼の想いを僅かでも継ぎたくエイズのチャリティを26年間続けた。
初年1993年発足時はキースの絵をシンボルに使わせて頂きライブを行ってきた。
ミュージカル「ラディアント・ベイビー」ニューヨークで上演された作品を日本で演出させて頂けたのは、私からキースへの恩返しでもあった。
深く辛い人が生み出してしまう惨劇をキースの絵はキュートに緩和と安らぎとユーモアを持って訴えてくれる。
重いテーマを克服した先に「幸せ」が待っている事を感じさせてくれるのだ。

PROFILE

岸谷五朗(俳優/演出家)

1983年、大学在学中に劇団SETに入団し、舞台を中心に活動開始。93年、崔洋一監督、鄭義信脚本の映画「月はどっちに出ている」で高い評価を受け数々の賞を受賞した。
94年、寺脇康文とともに演劇ユニット「地球ゴージャス」を結成し、ほとんどすべての作品で演出を手掛けるほか、多くの作品で脚本も担当するなど、多彩な活躍を見せる。キース・へリングを題材にしたミュージカル「ラディアント・ベイビー」の日本版演出を手掛ける。2024年4~6月には「地球ゴージャス」6年ぶりの新作となる「儚き光のラプソディ」を上演予定。主な出演作に、映画「夜明けの街で」、Netflixドラマ「サンクチュアリ-聖域-」、ドラマ「恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜」など。2024年NHK大河ドラマ「光る君へ」に出演。

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