村田真美術ジャーナリスト、画家、BankARTスクール校長芸術家

初めてキース・ヘリングに会ったときの第一印象は「ずいぶん細長い人だな」。スラッと背が高いというより、針金のように細長いのだ。その上に幼さの残る童顔がのっているからどうもバランスが悪い。インタビューしてみると美術史や記号論の話が出て、ポッと出のアーティストではないことがわかる。そのあと「絶対に乗るな」と言われていた深夜の地下鉄に乗って、彼が広告の空きスペースにドローイングしていく姿を追った。左右を見回しながらものの1、2分で描き上げ、さっと逃げていく。急いで写真を撮って追いかける私。おもしろかったなあ。キースは現代の洞窟壁画家だ。

PROFILE

村田真(美術ジャーナリスト、画家、BankARTスクール校長芸術家)

1954年東京生まれ。1977-84年ぴあ株式会社勤務。1982-83年「ぴあ」の姉妹誌「Calendar」のためニューヨークでキース・ヘリングを取材。

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